肝臓疾患センターのご紹介
肝臓外科担当者が過去に行った手術の成績では、肝癌研究会がまとめた全国主要病院の平均と同等かそれ以上の成績を収めています(図4)。
当院の消化器疾患の診療は、消化器内科医と消化器外科医が協力して、消化管・肝胆膵領域のすべての領域の診断と治療を行ってきました。
消化器の中で肝疾患に関しては、診断から治療に至るまで他の消化器疾患と比べてやや特殊な面があります。たとえば、肝がんの治療では、患者さんの全身状態、背景にある肝機能、腫瘍の進行度などを総合的に判断して、
① 腫瘍に針を刺して焼く治療であるラジオ波焼灼療法(RFA)
② 細いカテーテルを血管の中に進めて腫瘍に入る血管を詰めてしまう肝動脈塞栓化学術 (TACE)
③ 病変部分を取り除く肝切除術
の代表的な治療法三つから選択します。これに加えて、肝臓移植や主に進行例に対して化学療法も行われます。内科、外科、放射線科が科を横断的に相談し、それぞれの患者さんに最も適したいわばオーダーメード治療を行う必要があります。これは、肝硬変の最も重大な合併症の一つである食道胃静脈瘤の治療でも同様のことが言えます。
当院の肝臓疾患センターはこの疾患の特徴を考慮し、肝臓病の患者さんを各科が協力のもとに最善の治療しようという目的で設置されています。
食道・胃静脈瘤
食道・胃静脈瘤は主に肝硬変に伴う合併症で、ここからの出血は命にかかわる危険な状態です(図5)。この治療のほとんどは胃カメラを使って行います。静脈瘤を輪ゴムで縛ってしまう方法(図6)や、
対象となる疾患は以下のとおりです。
たとえばC型の肝硬変の患者さんでは年7%程度の発がん率という報告もあります。
現在では、B型肝炎のワクチンやガンマグロブリンといった薬があり、新たにB型肝炎に感染する人はごくわずかになっています。また、慢性化してしまった患者さんであっても、薬の投与によってウイルスの勢いを抑えて病状の進行を遅らせることができるようになっています。
C型肝炎の治療は最近劇的に進歩しており、かつてのように副作用の強いインターフェロンを使用することはほぼなくなりました。現在は安全性の高い、内服薬が発売されており、大半の患者さんはこれによってウイルスを排除することができるようになりました。
ウイルス性肝炎・肝硬変で悩まれている患者さんはこの機会に是非治療を受けてみませんか。
センター長 黒川 剛